R工房の土鍋の大きな特徴の一つは、本体と蓋が密閉式に出来ているため
蒸気と熱の逃げ道は蓋に開けた穴だけという事。
早めに火を止めて 穴を塞いでおけば余熱調理が効率良く出来るのです。
その穴を塞ぐための木栓は R工房の土鍋に無くてはならない物です。
土鍋が焼き上がってから木栓を作って ようやくお客様にお渡しが出来ます。
秋田に住む父が山で取ってきた山桜の枝で作っています。
しかし、父が亡くなってからは在庫もわずかになり こちらで探しても良い肌合いの物が見つかりません。
先日、あちこちと車を走らせて桜を探しましたが 一日中探しても茶色の桜の皮は見当たりません。
白っぽい物や グレーの物 肌がごつごつと荒い物 つやの無い物ばかりです。
秋田は樺細工の工芸品が有名なだけあって 秋田の山桜の肌合いはつやつやして重厚な茶色なのです。
後から聞いたのですが 雪国で成長が遅いため皮が奇麗なのだそうです。
それを聞くと 秋田まで枝を取りに行くしか方法が無いように思えてきます。
二年生の畑に見つけました、これこれ!この肌合いです!
広い園内を私の欲しい物が見つかるように案内してくれて 種類ごとに説明をしてくれて 絞られていきます。
大漁桜、おかめ桜、アーコレード、兼六園熊谷 ここら辺が候補です。
そして 「大漁桜」の一年生がうちにやって来ました。
河津桜系で 霜にも強いように改良したものです。
花が鯛のピンクに似ているところから この名前になったそうです。
二年したら 木肌がつやつやになって 希望の太さの木栓が取れる枝になるようです。
でも心配が一つ・・・花が見たくなって枝が落とせなくなること・・・
もし土鍋の木栓が桜の枝から他の物に変わっていたら 仲本は初心を忘れて花見を楽しんでいると思ってください。