割れた作品達

我が家には 作品を壊す方がおられる。

 

まるで破壊検査員のように 壊してくれる。

 

 

彼の部屋に入って発見した愛しい作品達。

 

キッチンの食器棚からお気に入りを選んで 自分の部屋に持っていく。

 

そして戻ってこない作品達だ。

 

 

右の白い紙の中身も もしかして・・・。

 

やっぱり壊されていました。

 

丁寧に積み重ねて 紙に包まれています。

 

そっと包み直して 元の位置に戻しておきました。

 

なんで私がそんな気をつかうのか分かりませんが 見てはいけない物を見てしまった感じです。

 

このビードロ釉の灰皿も 大好きな形と色でしたが ・・・。

 

 

発見した時は胸が潰れる思いですが すぐに思い直します。

 

「もっとステキな物を作ればいいんだ!」と。

 

でも この時の物は その時の勢いとタイミングでしか作れないことも知っています。

 

 

「怪我しなくて良かったね」と言えるほど心が広いわけでもなく、

 

「どうしてくれるのよ!」と責め立てるほど若く情熱的なわけでもなく、

 

割れ物に従事する仕事人の性として 割れた物や失敗した作品に対して

 

場数を踏んできことで 心を引きずってはいられなくなっただけなのです。

 

 

 

今日も 食器棚からお気に入りの粉引のワインカップを選んで持って行こうとしました。

 

とっさに私は「それはやめて!!」と、取り返しました。

 

 

いつまでたっても割れることには慣れない 臆病な焼き物屋です。