朝から憂鬱です。
この牛を 手放す日なのです。
あれほど手間のかかった子を 手放すなんて・・・もう 感情が入りすぎてる。
目が入ると いつもそんな気分になるのですが、今回はいつもよりぐずっている私。
ため息ばかりついている私に 景気付けに言い訳を考えてくれる主人。
「やっぱり作れませんでした」って断ったら?
「牛は逃げてしまいました」って どう?
牛の土面を頼まれたので 写真や動画を参考に作ろうとしたものの どんどん変になってしまうんです。
しっくりこないけど どこを直していいのかも分からなくて 朝までかかりました。
朝に起きてきて 見かねた主人が牧場に連れて行ってくれたのです。
その変な牛と粘土と道具を持って 小雨の中 ハエが顔や頭にしつこくまとわり付く中、
実物を見ながら作り上げたこの子には よくぞここまで出来たという思いがあるのです。
そして 目を入れた途端、生き生きとこちらを見つめるではありませんか。
「牛は逃げました」
そう言っても許される気分になります。