米国ミネソタ州から 友人のJuliaがご主人と共に訪ねてくれました。
私達がかつて「お嬢さん」と呼ばれる頃 秋田で英会話講師として働いていた同僚です。
心が通い合う姉妹のような関係でした。
数年前からフェイスブックでお互いを探そうとしましたが
日本では女性の姓が変わってしまうので 私のことは探せなくなり、
アメリカでは住所が転々と変わることが多くて Juliaのことは探せませんでした。
そして今回 35年振りに再会したのです。
35年振りに会った私達は 友部駅で人目をはばかることもなく 抱き合って泣き続けました。
2泊3日の間に 35年間の出来事を早回しのように報告し合い
びっくりしたり がっかりしたり 感激したり・・・。
子供は3人いて どの子も優秀そうでした。
1番目の女の子は薬学士として陸軍で働いているそうです。
2番目の女の子は「TED」にも出演して講演をした人類学者です。
一番下の男の子は 高校を主席で卒業しましたがジェンダーです。
つまり「性同一性障害」のため 中学生の頃からホルモン療法を続けてきました。
そして今回タイで性転換の手術をするので 両親が付き添いのために
タイのホテルに1ヶ月滞在して その帰りに日本に寄ったのでした。
息子が打ち明けた時の驚きと葛藤はいかほどだったかと思うと 胸が痛くなりました。
しかしいつも子供の幸せを1番に考える彼らは 性転換手術も視野に入れて
打ち明けられた中学生の時から 男性ホルモンを減らすためのホルモン療法を選びました。
そのため骨格も髭も男性的にならず 身体と心があまり解離せずに済んだようです。
人は受胎した時はすべて女性(XX)ですが
受胎後8週間目にホルモンシャワーを浴びて男性(XY)に変わります。
その時 脳が男性ホルモンで満たされて 男性へとプログラムし直されるのですが
体が男性になったのに 何かの理由で脳は女性のままということが起こっています。
それが性同一性障害と言うもので、本人に落ち度があるわけでもなく、
母や父に落ち度があるわけでもありません。
ただただ受け入れる努力をして その子が幸せになるための方法を一緒に探し出す。
本人にとっても両親にとっても 苦しい道のりだったと思います。
「まるでたった一人の息子を亡くしたような喪失感に襲われた」と言っていました。
手術を受けたタイの病院では 両親が面倒を見に付き添ったのは
50人中たった2組だったそうです。
他の人達は 両親にもうとまわれ 社会にも背を向けて
決死の覚悟で大手術を独りぽっちで受けに来ているそうなんですね。
ちなみに 手術は480針もの大手術です。
2番目の人類学者の女の子は癌で入院していましたが 現在は仕事に復帰しています。
「子供にどんな事が起きても 私達が必ず直してあげる」
そう言った彼女の信念と愛は、深く 大きく 温かく 気持ちよく輝いていました。
今回私にもその大きな愛をキラキラと振りまいていってくれました。
私は以前よりも増して Juliaをリスペクトし 大好きになりました。
新年にふさわしい 新たな私になった気分です。